拝啓 風子様
虹の橋に走って行っちゃった風子へ ~ねねより
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2008年2月6日水曜日

  朝の体重 9.5kg

2008年2月7日木曜日

  朝の体重 9.8kg

明日には又大台に戻りそう。来週大学に行ったら、又腹水抜くのかな・・・
あんまりぐっすり眠ってると、時々恐くなって顔や胸に耳を寄せる。
すぅ、すぅ、コクン、コクン。ちゃんと聞こえる。だいじょぶ。


んで、起こしてしまう。起きたついでに、少しご飯食べさせる。
そしてねねは、またまた嫌われる。顔を背けられる。
早くパパ帰って来ればいいのにとか思ってるでしょ。オヤツタイムだから。


ある日、ダンナが帰宅するなりスーツのまま、だだだっ!と家に駆け込んで来た事があった。

私と風子はその時、洗面所に居た。

洗濯機の前に広げたペットシーツに伏せている風子と、
風子の前に正座して手を叩いてた私は、
洗面所のドアをバーンと開けて、真っ青な顔してるパパを見上げる。

「どっ・・・どしたの・・・」
「どしたのってそれ俺が言いたいよ・・・何してんの・・・」
「何ってチィ出来たから・・・風子エライねって」

元気な時、風子が家の中でオシッコをする事は滅多になかったけど、
ごくたまにする時は、私の布団か、洗面所の洗濯機の前。

と、風子が決めていたようだったので、
病気になってから、「前みたいにここでチィすれば良いんだよ」と促してみるんだけど
風子は中々言う事を聞いてくれず、外でトイレをしたがる。

この時は、洗面所にしばらくこもって、風子がオシッコをしてくれるのを待ってみようと。
5分か、10分か。
根負けした風子が、ペットシーツの上にしゃがんでちーっとやったので、
「風子ーーー!やったーー!偉い偉い!凄いね風子ーーー!」
とワザとらしく手を叩いて大喜びしてたのだ。

ダンナは、帰宅した瞬間、私のその叫び声を聞いて、
風子に何かあったのかと思ったらしい。

「良かった・・・あービックリした。焦った・・・」

二人で洗面所にしゃがみ込んで、きょとんとしてる風子を撫でた。
「チィ、したのはしたんだけどさ。頑固だからさ。かなり時間かかった」
「・・・やっぱり外じゃないとダメだな。イイじゃん、すぐするんだし。風子も気持ち良く出来るし」

抱き上げて居間に戻る時、さっきまで洗面所でずーっと不機嫌だった風子の顔が
ゴキゲンになってるのに気付いて、ちょっと面白くなかった。

ナニよーその可愛い顔。
ねねは風子のために24時間捧げているというのに。

ほっぺたニーッてして、黒わらびもちにちゅーちゅーしてやる。
前足の肉球の手前のくぼみのとこに指あてて、サワサワしてやる。
前足の指と指の間をこしょこしょしてやる。

なーんて嘘。やんないよ。全部、風子が嫌がる事(苦笑
具合良くなったらいっぱい遊びながら、やってやるんだって思ってた。
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2008年2月5日火曜日

朝の体重9.3kg

ああー。やっぱり腹水、増えて来ちゃった・・・。
予想はしてたけど。してたんだけど。プチがっかり。
しょうがない。先生も又溜まって来るはずって言ってたし。

呼吸は、動くと少しハァハァするけど、
伏せたり、横になって眠っている時は穏やか。
ぐっすり眠れるのは、良い事。

最近、風子に嫌われてる。辛い。
ご飯の時、凄く怒ってる。食べたくないって。
歌ったり、なだめたり、褒めたり、軽く叱ってみたり、色々してるけど
「川」が一番効く。よっぽど川に行きたいみたい。
ごめんね風子。今はダメだけど、暖かくなったら絶対行こう。

元気になろう、元気になろう、ご飯を食べよう。




「たべたくない」「たべられない」と訴えていた風子のクチに
美味しくないってわかってるご飯を入れて、こうして無理に食べさせていたことは、
風子が亡くなってから押し寄せてくる多くの後悔の中でも
かなり、大きかった。

「食べないと元気になれないよ?元気になって、風子の川に行くんでしょ?」

ご飯をクチの中に入れたままぶすーっと怒ってる風子に何度かそう言った。
“川”という言葉はこの頃、伝家の宝刀みたいなモノだった。
効き目が薄れると困るので、どうしてもダメな時しか言わなかった。

風子は分かってた。ちゃんと理解してた。
“川”と聞くと、ずっとそうだったように耳がぴくんとなる。

思い出してたんだろうか。
大好きな風景の音や、匂いを。
元気になって又あの川へ行こうと、自分を奮い立たせたんだろうか。

少しの時間を置き、風子は、
クチの中のご飯をもぐもぐしてからごくんと飲み込んでくれた。

何でも好きなものだけ、好きなだけ食べさせてやるんだった。
寒いし雪まみれだからダメなんて言わずに、川に連れてってあげるんだった。
車に乗って、音を聞いて、匂いを嗅ぐだけでも、風子はきっと嬉しかったはず。

・・・だけどそう思うのは多分、私が今、風子のいない未来に居るから。
その日に旅立ってしまうと分かっている未来だからこその、後悔なんだろう。
2008年2月4日月曜日

朝の体重10.3kg

会社が休みだったので、パパも一緒に揃って大学病院へ行く。

腹水と一緒に失われる栄養を点滴しながら、時間をかけてゆっくり抜くということ、
風子に出来るだけ負担の少ない量に留めるということなど、説明を受ける。

相変わらず不安そうな風子に「頑張ろ。待ってるからね」と声をかけ、
頭を撫でて診察室を出て
待合室で2時間位待ち、呼ばれた。



風子は寝起きのようなマッタリした眠そうな顔で、処置台に伏せていた。
促されて先生の後ろの台を見ると、
薄い苺ジュースのような液体で満たされた大きなビーカーが、
満タンのと、半分のと、二つ。

「約1.5リットルです。まだ半分以下なんですが、又溜まって来てしまうと思うので、
 今まで通り利尿剤も使いながら、様子を見て心臓のお水の方も抜く時期を考えましょう」

抱き上げると、朝より少し軽くなってて
パンパンだったお腹は、ぺっちゃんこではないものの、やわらかく戻っていた。
呼吸も凄く楽になってて、
処置の間、風子もしかしたら寝てたんでしょ?って笑ってしまうくらい、落ち着いてた。

帰宅してウンチを2回。体重測定すると9.1kg。

寝床に入れると、伏せてからぽてっと横になって、すぐに眠り始めた。
今朝まで悩んでた事や、感じていた不安や恐怖が、
気持ち良さそうにぐっすりと眠っている風子の寝顔を見てると、どこかに消えて行く。

良かった。
風子、気持ち良さそうで良かった。
良かったよね?お水抜いてもらって。

熟睡してる風子を起こさないように、ひそひそ声でパパとそう話した。

朝ご飯は無しで、夕ご飯は完食。
心なしか給餌もスムーズに進んだ。
お腹が楽だから食べやすいのかな、なんて又嬉しくなったりして。

凄く緊張してた分ホッとしたのもあって、
この日の午後は、久し振りにリラックスして笑顔多めで過ごせたような気がする。

すぐ目の前に別れが迫ってるなんて、微塵も考えずに。
2008年1月31日木曜日

体重10.2kg。
前日とうとう10kgを超えてしまった。
でも月曜日にB獣医さんと相談して、今日は大学病院に行く予定になってるから。
腹水抜いてもらうから。
色々考えてて、悩みは尽きないけどしょうがない。
風子行くよ。頑張らなくちゃだ!

・・・と大張り切りで朝、大学に到着。
天気は良かったけど冷え込みが厳しかったので、
風子をキルトに包んで抱き上げ、えっちらおっちら駐車場から病院棟へ歩く。
風子、下に降りて歩きたそう。
時々氷で滑りそうになってヒヤヒヤしながら病院の入口に到着したら。

玄関が暗い。
なんだこの張り紙?

『本日は試験の為、病院は休診となります』

ΣΣ(゚д゚lll)

うそーん。

気が抜けた。凄い張り切って来たのに・・・B獣医さんも知らなかったのか・・・
風子が「おりる!おりるから!」とよじよじするので降ろした。
病院棟の前の道を散歩しながら駐車場へ戻る。
ヨタヨタ歩きながらも、足取り軽くご機嫌に見える。・・・風子が。

そんなこんなで朝ご飯食べるのがずいぶん遅れた。仕方ないかぁ。
ウンチがゆるい。ゆでレバーあんまり食べない。飽きちゃった?




最初はたぷたぷした感覚だった風子のお腹は、
この頃はパンパンに張っていて、触ると硬いくらいで、
触る度に、痩せた背中やお尻でこんなに大きくて重たい水を抱えてるなんてと
どうにもしてやれないのが悲しくてしょうがなかった。

でも僧帽弁閉鎖不全症のこと、肺水腫、そして腹水のこと、
調べて行く内に、
腹水もただごっそり抜いてやればいいというものでは無い、という事を知る。

この憎き腹水も、
本当なら風子の体の中を血液と一緒に循環してるはずの大事な水分であり、
吸収されるはずだった栄養分もたくさん含まれているわけで、
それを一気に注射器で吸い出してしまうと、
血圧の低下や、体内のバランスの崩壊を招いてしまう。

かといってじゃあ、腹水を抜かずに放置していると、
溜まり続ける腹水が内臓を圧迫して、大事な各臓器の機能を脅かすことになる。

抜いても大丈夫なんだろうか?
抜かないと風子は苦しいんだろうか?
抜くと楽になるのかな・・・抜かないでお薬でどうにかならないのかな・・・

しばらく、ぐるぐる考えていたけど
結局は獣医さん達の判断とタイミングに頼るしか無くて。

B獣医さんに相談して、再び、来週の月曜日に大学病院を受診する事になった。
2008年1月下旬

風子のトイレと食事と、空いた時間にコタツでお仕事。
家事は極力サボらせてもらっていたけど、
雪かきだけはサボれない。

風子がトイレの為に歩き回るスペースが無いといけないし、
何かあった時にすぐに車を出せるようにしておかないとダメだし。

雪かき前に、玄関前の雪をトイレ散歩用に片付けて、風子を歩かせる。
体が重いので、降り積もる雪をぶるぶるっと除けることが出来ない。
時々手で払い落としてやりながらくっついて回る。

トイレが終わって、片付けて
「はい、じゃあお家帰ろー」
と顔を上げると、風子は玄関とは逆の方に歩いて行き、
はぐはぐ、はぐはぐと雪を食べていた。

「やーーー!ナニしてんのアンタはぁーー」

顔中に粉雪くっつけてきょとんとしてる風子を抱え上げて、
雪をぱたぱた払いながら玄関へ急ぐ。
ただでさえ寒いのに。寒いのは心臓に良くないのに。
その上雪食べちゃうなんて。

元気な時も、ごくごく稀に散歩中、雪を食べる事はあった。
でも亡くなる前の風子は、利尿剤の副作用で異常に喉が渇くのか、
体が熱っぽくて冷たいものが欲しくなるのか、
庭に出すと結構な頻度で雪を食べようとした。

出来るだけ食べさせたくは無かったけど、
食欲が殆ど無い風子が食べたがるものをすぐに取り上げるのも気が引けて、
その内、段々と、黙って食べるのを見守るようになった。
少しだけ。少しだけなら食べてもいいかな、って。

すると、玄関周りの積み上げた雪は通り過ぎて、
ちゃんと片付ける前の綺麗な新雪の方へ歩いて行き、
積もったばかりのやわらかいところにくんくんと顔をくっつけて、はぐはぐ、食べてる。

すごいなぁ。何でわかるんだろ?
風子、新雪の匂い分かるの?

すごいけど、ちょっとだけだからね。
・・・はい!終了~。

暖房の効いた部屋にずっといると、真冬でもアイスクリーム食べたくなるようなもんかな。

まだ雪を食べ足りなさそうな風子を抱き上げながら、そんな事を思った。
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